皮膚エリテマトーデスの病態に「細胞老化」が関与
- hgc
- 9月25日
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老化細胞が免疫細胞の攻撃性を高めるメカニズムを解明
北海道大学大学院保健科学院博士課程 2 年の山本瀬菜氏、同大学大学院保健科学研究院の千見寺貴子教授、札幌医科大学保健医療学部の齋藤悠城教授、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターゲノム医科学分野の新井田厚司講師らの研究グループは、皮膚エリテマトーデスにおいて表皮細胞で起こる細胞老化が病態に関与する可能性を新たに見出しました。
皮膚エリテマトーデスは皮膚に慢性かつ炎症性の病変が生じる原因不明の自己免疫疾患で、全身性エリテマトーデス (SLE) 症状の一つとして発症することがあります。病態として、I 型インターフェロン (IFN) と呼ばれるサイトカインの発現が上昇していること、さらに正常な表皮細胞が細胞傷害性 T 細胞から攻撃され、細胞死を起こすことが分かっています。しかし、なぜ免疫細胞が正常な表皮細胞を攻撃するのか、その病態メカニズムは明らかにされていません。
研究グループは、皮膚エリテマトーデス患者の皮膚の単一細胞解析 (シングルセル RNA-seq 解析) を行いました。その結果、表皮細胞が細胞老化を起こし、I 型 IFN の発現を高めていることを明らかにしました。さらに、老化細胞から産生される I 型 IFN が正常表皮細胞に作用することで HLA- クラス I の発現を高めて、細胞傷害性 T 細胞から攻撃され易くなることが分かりました。一方で、老化細胞は自身が分泌する因子の作用によって HLA- クラス I の発現を低下させることで、細胞傷害性 T 細胞の攻撃から逃れている可能性を示しました。
本研究成果は、老化細胞が皮膚エリテマトーデスにおいて正常な表皮細胞が攻撃を受けるメカニズムに関与する可能性を新たに明らかにしました。
詳しくは東大医科研プレスリリースをご覧ください。
本研究成果は 5 月 19 日に Arthritis & Rheumatology に掲載されました。




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